ボードゲームは、1つひとつが少し高価で、骨太なゲームになるほど箱が大きくかさばりやすくなるという特徴もあります。ご自身で集めるにはお金や場所がいくらあっても足りないので、ボードゲームを楽しむことを諦めているという方もいるのではないでしょうか。
ボードゲームに興味があって、遊びたいけれど、同じようにボードゲームに興味があるという知人・友人も少なくて、ボードゲームカフェも近くにないという方も多いかもしれません。
しかし、ボードゲームを遊ぶのに、共通の知人・友人や大量のボードゲームを所有している必要は必ずしもありません。
SNSや掲示板を見ると、各地で「ボードゲーム会」が開催されており、不特定多数の初心者やボードゲーマーが集まってボードゲームを楽しんでいます。
ボードゲーム会(以下「ボドゲ会」)に参加することで、ボードゲームを遊ぶ機会が増え、一緒に遊べる友人を作ることもできるでしょう。
今回は、そんなボドゲ会の内容や魅力、注意点についても解説します。
ボードゲーム会(ボドゲ会)って?
ボドゲ会は、各地にいるボードゲーム好きの個人が主催して開かれるイベントです。口コミやインターネット上で参加者を募り、主催者や参加者が持ち寄ったボードゲームで遊びます。
ボドゲ会の形式は2つのパターンに分けられます。
クローズド会
インターネット等に開催情報を掲載せず、口コミを頼りに参加者を集める方法です。主催者の知り合い・友人やそのまた友人を呼ぶくらいに限られます。人数が限られやすく、たくさんの人数でわいわい遊ぶことが難しいという点はありますが、周りに知り合いが多いという環境なので、人見知りの人でも参加しやすいというメリットがあります。
オープン会
SNSや掲示板などインターネット上でボドゲ会の開催を周知して、不特定多数の参加者を募る方法です。
常連が多いこともあって気後れすることもあり、ボードゲームが楽しいと言われる適正人数が集まるかどうかはその時まで分かりません。ですが、自分が知らなかったボドゲに出会えますし、自分の都合に合わせて参加しやすいというメリットがあります。
おすすめの軽めのボードゲーム
ここでは、ボドゲ会に持っていって楽しみやすい、軽めのボードゲームをご紹介します。
ニムト
牛のカードを引き取らないよう考えながらカードを並べていく知略ゲーム。ボドゲ会ではおそらく必ず誰かが持っているというくらいの定番です。
海底探検
サイコロを振って駒をすすめて、もっとも多く宝を持ち帰った人の勝ちというゲーム。全員が同じ酸素ボンベに繋がっているという設定なので、無謀なプレイヤーがいると全員が帰還できなくなってしまうというゲーム要素が秀逸です。
ファブフィブ
カードを引いて、数字を宣言していくブラフゲームの鉄板です。宣言された数字がウソだと思ったら「ダウト」と指摘し、カードを公開。指摘を外したプレイヤーはポイントを失い、12点失うと脱落します。数字の宣言と指摘を繰り返し、最後まで残った人が勝ちです。シンプルながら、ゲームバランスの良さが魅力。
アークライト ザ・ゲーム: エクストリーム
プレイヤー全員で順番にカードを出し合って遊ぶ協力ゲームです。複数プレイは最低2人からなので、人数が集まらなくてもプレイしやすいゲーム。なお、1人でソリティアをして遊ぶこともできます。
ボドゲ会に参加するうえでの注意点
ボドゲ会で気持ちよくゲームをするためにも、下記のような最低限のルールを守って参加しましょう。
ボードゲームは丁寧に扱おう
持ち込みをしてくれたボードゲームは他人が快く貸してくれたものなので、丁寧に扱いましょう。カードやコンポーネントは傷つきやすいので、叩きつけるように置いたり、濡れた手でボードゲームに触れないよう注意して下さい。
飲み物をテーブルの上に置く時にも注意しましょう。うっかりこぼしてボードゲームがコーヒーまみれに……食事をしながらゲームしていたらカードがべたべたに……という事故はたまにあります。
また、カードを混ぜるときには、「ショットガンシャッフル」「リフルシャッフル」は避けます。見た目はカッコいいですが、カードが痛む原因となるからです。ボドゲではディールシャッフルをする人が多いようです。各プレイヤーへカードを配るように並べていき、最後にすべてのカードの山をランダムにまとめるという方法。カードをほとんど痛めないうえにしっかり混ざります。面倒であれば、麻雀パイのようにカードを裏返して広げ、手のひらでかき混ぜて戻すビギナーズシャッフルもおすすめ。
インストを横取りしない
ボードゲームでは、最初にルール説明を行なう「インスト」という文化があります。ボドゲ会では、ボードゲームを持ってきた人か、持ち主から頼まれた人がインストをします。知っているゲームだからと言って、横からインストの役割を横取りするような形になると、他のプレイヤーが気まずい思いをしてしまうでしょう。知っているゲームでも、インストをしてくれる人が決まっているのであれば、復習もかねて口を出さずに説明を聞くようにしてください。
持ち込み禁止ボードゲームを知っておこう
ボドゲ会は、不特定多数の人が集まるイベントであることから、マルチや宗教への勧誘目的で参加するというトラブルが問題になっています。特に、ネットワークビジネスに誘うという営利目的で使われがちなゲームはほぼ固定されているので、『持ち込み禁止」としているボドゲ会・ボドゲカフェがほとんどです。もし禁止していない場合は、その理由を主催者に聞いてみましょう。
下記のようなボードゲームを使って勧誘をする人がいる、ということをあらかじめ知っておくことで、自衛にも繋げられます。また、マルチやねずみ講に誘われたという場合は、抱え込まず、速やかに主催者へ報告してください。
キャッシュフローゲーム101,202
サイコロを振ってコマを進めていき、中央の円(ラットレース)から抜け出し、より多くの不労所得を形成するために競うゲームです。
マルチ勧誘会の定番といわれるボードゲームで、『金持ち父さん 貧乏父さん』という書籍をもとに作られています。このゲームになぞらえて「不労所得をつくりラットレースから抜けることのすばらしさ」を説いてマルチへ勧誘をする人がいます。
七つの習慣(7つの秘宝)ボードゲーム
それぞれの達成条件をクリアすることを目的に、サイコロを振ってコマを進めていき、交渉しながらゴールを目指すゲームです。「7つの秘宝」はRPG版ですが、基本的なルールは変わりません。
ビジネス書のベストセラー『7つの習慣』をモチーフとしたボードゲームであり、『7つの習慣』の内容を引用しながらセミナーへ勧誘するためのツールとして使われています。
アチーバスボードゲーム
すべてのプレイヤーが目の前に1~17までのカードを並べることを目指して行なう協力型のボードゲームです。ターン終了時には、次の人へハイタッチをしてターンを譲る、ゴールをしたら親指を立てて「アチーバス」というなど、全員が協力し絆を深めることに主軸を置いています。
こちらは、『思考は現実化する』という自己啓発本をモチーフにしたボードゲームであり、ナポレオン・ヒルが提唱した17の成功法則を覚えるためのゲーム。主に『思考は現実化する』に感化された方を勧誘するツールとして使われ、宗教への勧誘を目的として使われやすいボードゲームです。
なお、「戦わないボードゲーム」という売り文句が強調されることもありますが、全員協力型や競争要素のないボードゲームが珍しいというわけではありません。
アチーブメントボードゲーム Choice
職業とスキルを選び、サイコロを振って人生の洗濯に関する知見を深めることを目的にしたすごろくのようなボードゲームです。「自分で考えて行動する」ことを学ばせることを重視しており、その流れから「このまま何も選ばず仕事に明け暮れる人生でいいのか」とネットビジネスへ勧誘するのに用いられています。
カレンシーレボリューション
仮想通貨がテーマとなっているボードゲームです。入手が難しく滅多に出回りませんが、ビットコイン投資をモチーフにしており、投資セミナーへ誘導するのに使われています。
禁止されているボードゲームは基本的に避けよう
持ち込み禁止ボードゲームは、ゲームそのものが問題というわけではありません。
しかし、だからといって「持ち込みはNG」と明言するイベントにわざわざ持ち込むような対応をすると、いらない反発を招いたり、出入り禁止になったりする可能性があります。また、持ち込み禁止ボードゲームをわざわざプレイするというボドゲ会は、営利目的である可能性が高いため、基本的にはそういうボドゲ会の参加は見送ったほうがいいでしょう。
持ち込み禁止となっているボードゲームは、トラブルを避けるためにも、基本的に持ち込むことはせず、プレイに誘われても応じないようにしてください。
持ち込み禁止ボードゲームは、営利目的であるという点も問題ですが、もう1つ重要な問題点があります。それは、楽しむよりもお金の勉強や勧誘を目的にしているからかもしれませんが、代表的なボードゲームである『モノポリー』『人生ゲーム』のようなゲームが多く、かつ「冗長なゲーム」と評価されやすいところです。
プレイ時間が長いゲームはルールが難しいことも多く、初心者に楽しんでもらうための第一歩として選ぶには慎重な姿勢が必要です。また、『カタン』のような競技的要素のあるボードゲームは、慣れによってプレイ時間を短縮できますが、そういうこともしにくいゲームです。
たとえプレイを受け入れてもらえたとしても、初心者でも玄人でも、盛り上がりには欠ける可能性があります。
経済・経営に関するボードゲームを持ち込みたいのであれば『アクワイア』『カタン』『宝石の煌めき』、もしくは禁止ボードゲームのもとになっている『モノポリー』『人生ゲーム』といった定番のほうがトラブルを心配する必要もなく、一定の評価を受けて長く愛されているゲームということもあって盛り上がりやすいでしょう。